ひとり言

ちょっとしたご指摘をいただきました。「フランス料理はロシア宮廷料理が下敷きだったのでは?」とのこと。
ロシアは、その広大な領土のため食材に恵まれていました。そのおかげで多種多様な料理・調理法があったことは間違いありません。当然、フランス料理もその影響を受けていることは疑う余地もないのですが、これがコース料理、つまり「食べ方」についてとなると別問題です。
本来のフランス料理は、すべての料理をテーブルに並べるという食べ方でした。これに対して、古いロシア式料理は、1品づつテーブルに出されました。こう書くと「今のコース料理と同じ」な印象ですが、その料理は大皿に盛られた丸ごと調理の肉や鳥をみんなで食べる方法でした。もっとも、その当時は一人の客に対して、一人の給仕がつくという宮廷式ですから客が自分で料理を取り分けたりはしていなかったようです。
その古いロシア式料理も、18世紀にはいると西欧の影響を受けて、当時のフランス式(テーブルに全部の料理が並べられる)になったようです。そして19世紀初頭に確立された、切り分けた料理を順番に運んでくるというフランス式コース料理が19世紀前半にロシアに入ってきました。
つまり、「ロシア料理はもともと1品づつ食べていたのに、フランスの影響で18世紀にテーブルにすべて並べる方式になり、更に同じフランスの影響で19世紀に1品づつの食べ方に変わった」と言うことになります。
ちなみに、ロシアの宮廷料理っていうのは満漢全席の様に、そうとう豪快だったようですね。その辺りはまた機会があれば。

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