様子を覗きに「焼肉 ポッサムチプ」

今週土曜日にポッサムチプにてイベントがあるとか。行こうか行くまいかと思案しきりなのですが、そんな中、ふらふらと同店へと足が向くのはいつものこと。だって、雨が降ってたんだもの(言い訳になんてなりゃしない)。
ちょっと仕事が早く片づいたので早めに訪店。こんにちわ。お、流石に早い時間はまだ席がありますか。そういえば世間では給料日前。この間隙を縫って旨い肉を喰らっておきましょうか、そうしましょう。
いつものように生全部盛り。赤身はサンカク、マクラ、ソトヒラ。一切れずつの刺身を味わいつつ、旨〜と唸り。全くこの店では気を抜くことが許されません。心の隙をついて旨いモノを出して頂けるなんて。
更にレバ刺。これがまた堪らん旨さ。ねっとりとしたレバーの旨味。さくりとした歯触り。究極といってもよいかと思われます。ええ、抜群に旨いのです。しかも一切れが「ごろり」としたざく切りカット。
これだけの塊だと、もうレバーの旨味は完全に口腔内を埋め尽くしますね。多くは要らない。一切れだけという濃厚な旨さ。これ、食べ過ぎると別の意味でよろしくないと思う。うん、脳味噌がレバーに犯される。
とまぁガッツリ生を堪能。ナムルなども頂きつつ、今回のテーマを発表します。今回は『端っこ特集』ということで、よろしくお願いします。味付けは基本的に全てお任せ。でメニューの方は「赤タン」「サーロインのミミ」「マクラの端」そして「サーロインの背スジ」を。
赤タンは端っこではないですが、いつものタンモトとは違ってもっとタンらしいタン。こちらは塩で頂きました。旨い。以前にも頂いたのですが、このしっかりとした歯応えが素晴らしく旨い。あまりタンぽくないのですが旨味しっかり。
そして「サーロインのミミ」を。こちらは出汁醤油で味付けして粉トウガラシで。これがもうね、何て言うんだろう、そう、旨いね。いわゆる高級肉であるサーロイン。これの端っこの耳の所を炙って喰うんですが。
私、トンカツも端っこが好きなタイプなのです。端って何となく旨味が凝縮されているって感じしませんか?私はします。カステーラだって端っこが好きですし。食パンの耳だって、あ、こっちはあまり好きじゃないか。
でもサーロインの耳はいいですよ、美味。まさに旨さの結晶のような味わい。出汁醤油が泣かせますね。そしてマクラの端。こちらはタレで頂きました。なんというか、赤くて柔らかいスジ肉、と表現したら間違ってるんですけれども、そんな感じ。
てろろんと網に乗せて、ちりりりと焼けてくる様は愛らしく、舌の上でもその旨味がじゅわわっと広がるのです。ああ、もうね、今回の端っこ特集成功だね。いや、これでは終わらない。真打ちはこれからやってきます。
サーロインの背スジ。まぁ、言ってみればスジ肉。これをメニューとして出せるという、圧倒的な肉への自信が素晴らしい。だって、普通は煮込んで云々ってのが関の山でしょう?それを塩と粗挽き胡椒で喰わせるんですから。旨くなきゃあ出来ませんよ。
で、旨いんだこれが。まぁ、多分私たちくらいしか注文したとは思えませんが、この旨さを世の中の人々に知らしめたいが為にここに記す(焼肉黙示録 4章12節)。
いや、ホント、スジ肉なんて、と思うのですが、焼いて焼いて脂を落としてスジがこりこりになるまで焼いて喰うと、もう元がなんだったのか分からないほどの酒の肴。あ〜敢えていえば鶏の軟骨のような味わい。これ味付け次第で居酒屋メニューですね。
でね。今回の端っこ特集を察して頂いたのか、差し入れ。お店からの差し入れは「スープを取った後のスジ肉」です。あああ、これ、このゼラチン質がうめぇのよ。というか、味なんてほとんど出汁殻ですが、塩だけでその食感を楽しむのです。
これをむにゅむにゅ喰いながら、以前御料人様に作って頂いたテールスープに思いを馳せたりして。牛スジ系って煮込むとまた別の旨さがあって堪らんですよねぇ。で、お味見にと頂いたのが「トモチマキの端」です。
おほ。これはまさに端っこですね、端っこ。繊維に沿って切ってあるので、まさに成型時の端っこ。これはきっと旨いはず。ええ、その通りでした。サシというか脂というか、焼ながら浮かび上がってくる旨味の塊。
これを塩だけで口に放り込めば、もう、幸せ。これ以上の幸福なんて、一体どこに落ちているというのでしょうか?と心の疑問が汲めども尽きぬ泉のように湧き上がってくるのです。とまぁ適当なことを曰いつつ。
最後にお願いしましたのは「タレハラミ」です。いつもならホルモン盛りを食べるところですが、今回は最初に食べたハラミの旨さに負けました。ええ、タレで喰いたい、喰いたいのです。ということで。
でまた、これがどえりゃあ旨めぇのよ。ある程度予想はしていたけれども、その上を行く旨さってヤツですか。やっぱりハラミをタレは旨いですわ。御料人様とふたり、しっかりとハラミを味わい尽くして御馳走様でした。
本日は、早めに食べ始めて早めに終わるという、実に健康的な焼肉でした。と終わるはずだったのですが。え〜と。メールに着信ありです。今から焼肉喰うそうです。来いと。ちょっと顔出すようにとの要請。
ま、あれですよ。ちょっとだけ、一杯だけね、とお店に入ったのですが。どうやらおかしな事に。というのも、出てくる肉が人数分。えっとね。これって私(と御料人様)も食べろということですか?
ええ、無理。さっきしっかり喰いましたから。私たちは酒だけ呑みますよ。え〜と。旨そうですね。ちょ、ちょっとだけね。うん、これ一切れでいいから。あ、そ、それはタケノコ?今日はホルモン喰ってないよね。
てな具合で、チャミスルーを片手にちょこちょこと摘んでしまいました。お陰様で本日大変腹一杯でございます。一杯なのは腹ではなく腹肉ですが。しかも、本来商品ではない酒など見つけてしまって、それを呑ませて頂いたり。
ラベルにしっかりと「見本」と書いてある百歳酒。うわぁ、す、すみません。ま、呑んじゃったからね、仕方ないね。最後にツラミ。おう、そういえばツラミって喰ってなかったかも。じゃあせっかくなので出汁醤油でお願いします。うわ、旨めぇよぉ。
とまぁ、結局日頃よりも深肉してしまいました。肉の宿酔のような状態。要は喰いすぎ。あれだ、私たちに必要なのは断る勇気なのかも知れません。

胸を張って意気地なしだと言い切れます。
無理。こんな旨いモノ断れないって。

今回のお店:焼肉「ポッサムチプ」
兵庫県神戸市兵庫区駅南通1-2-20
TEL.(078)681-8888

3 comments to “様子を覗きに「焼肉 ポッサムチプ」”
  1. ホント、勉強になります。
    師匠、またひとつ、使わせて頂きます。
    「タン先」を「赤タン」と命名するセンス、脱帽です。
    ところで、牛肉のヘビーユーザーとして、ひとつ意見をお聞かせください。
    と言うのは、品種や産地へのこだわりです。
    いや、USビーフの話でなく、芝浦市場では今週、老舗の牛肉卸屋さんの和牛偽装の話題で大騒ぎです。
    ところが、そこまでして、実は喰っている人達には、産地や品種はそれほど問題ではないのかと個人的に思ってます。
    そんなことより、旨い肉を喰わせろ、じゃないですか?
    どうぞ、忌憚ないご意見をお聞かせください。

  2. >dagingsさん
    ネーミングうまいですよね。
    タン先とはちょっと違うみたいなんですが、でもこういう名前を付けられると、もう食欲もりもりです(笑)
    品種・産地ですよね。
    これってもの凄くユーザーによると思うのです。
    私などは「旨い肉」という区別しかしない方なので、色々と産地や等級を教えて頂いても忘れがちなのです。
    その態度が正しいとも思えませんが、一つだけ思うことがあります。
    『焼肉を喰う人間には品種・産地は関係ないが、
    お金を払う人間には大切なこと。』
    結局、たいして味が分からなくても「○○牛のA-5」という名称にお金を払う人がいる訳で。
    そういう人にとっては、だまされた、と思うのは当然だと思います。
    これが、ただ美味しく食べるだけの側にとっては、「へぇ、ホルスでもこんなに旨いんだ」とか「F1もいわれなきゃあ和牛と変わらないね」となります。
    高い値段を付けるのに嘘付くってのは下品かな?という程度です。
    私にとっては。

  3. 師匠、お礼が遅くなってすみませんでした。
    ありがとうございます。
    最近、ウチの業界ではまたまた掟破りが横行し出しまして、芝浦の老舗から地方の肉屋まで、お縄になってしまっています。
    そんな折、ウチの営業会議の冒頭に、師匠の『焼肉を喰う人間には品種・産地は関係ないが、お金を払う人間には大切なこと。』というお言葉を披露させて頂きました。
    感嘆の声を上げるヤツ、「早く本題に入れ」と言うヤツ、やっぱりここにも、「喰うヤツと払うヤツ」がいることを確認させて頂きました次第です。
    お師匠様の詔、しかとこのフトモモに刻んで(?)おきます。

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