夏到来、隣は何をする人ぞ。桂歌丸です。いい加減、このパターンも手詰まり感が否めません。うん、歌丸じゃ無いよ、貴方のてつやです。
先日、北海道は札幌へと行ってきたのです。実に良い季候の五月ですから。札幌はちょうどライラックまつりという絶好の観光シーズン。この所毎年この季節に行っていますね、札幌。今回はちょうど貯まっていたマイルを使って爽やかな初夏の札幌を楽しんできました。
という書き出しの予定でしたが、まぁエアチケットでトラブるわ、札幌は滞在中ほとんど雨だわでなかなか大変でした。それでもしっかりと楽しむのがヤキワナ流なのです。我ら夫婦はそんな小さなトラブル如きではくじけませんとも、心折れませんとも。
ホテルに荷物を放り込んでライラックまつりを楽しみますよ。御料人様がワインを選んでいる間に食い物調達。ワインは北海道産のワインを、そして料理の方は【チーズ三種盛り合わせ】と【チーズトマトの牛煮込み】を確保。あ、メニュー名は適当です。コレがワインとよく合っています。
さらに御料人様が【ローストポーク】を追加で。黒胡椒のピリリとした辛さが何とも旨いのです。でもソースだけ食べると辛すぎたけどね。そこは要注意だぞ☆
適当にワインもお代わりして、いよいよ本日のメインへと移ります。そう、いつもは昼間に来て無茶食いしている寿司店「すし処 佐藤」に夜食べに行くという、寿司店本来なら普通の事なのですが我らには非常に希なイベントとなったのです。
今回はキッチリと前もって予約してましたので開店と同時に入店などというがんばりを見せることなく堂々の店入り。コンバンワ、お久しぶりです。おおぉ大将は今日もお元気そうで何より。
早速ビールで乾杯。料理の方はいつもの様にほぼおまかせ。やって来たのは利尻礼文の【生うに】から。このウニ、実は試験操業のウニで、本来は出回ってはいない代物。いただきます、あ、塩水ウニですね。うん、旨いじゃないですか。しっかりとした味で旨味しっかり。良いですねぇ。
ところが次の瞬間意見が変わりましたね。【無添加ウニ】をいただいたから。北方四島産のウニ。濃厚。さっきの塩水ウニがカマンベールだとしたら、この無添加ウニはモンドール。そのくらいの違い。しかもしっかりと熟成されて旨味が最大に引き出された最高のモンドールくらいの差があります。あ、味はチーズじゃないですよ、イメージのお話です。
早速鈍器で頭を殴られたかのような感動をいただきまして、続いては造りの盛り合わせ第一弾。【中トロ、シャコ、松皮】の三種盛り。中トロの旨味は綺麗に寝かせて熟成。シャコの方は雌の卵の旨味と雄の身の旨味。これをしっかりと感じさせてくれるのです。松皮は塩でいただくのですがスダチを搾って酸を足すとまさに白身の旨さが口腔内で弾けてくれます。
そして【シャコの爪】も剥いて頂けます。これがよく動かす部位だけに旨味がしっかりとしていますね。こちらも雄の方が美味しかったと御料人様の談。雌の爪は片方落ちていたそうで御料人様にお譲りしました。
「これ、一口で食べずに少しずつ食べてね」と頂いたのは【イバラガニの外子】。この見事なオレンジ色の宝石一粒一粒が濃厚な旨味を発してくれます。あ、ちなみに、最初にウニが出てきた段階で日本酒も注文してますから。ウニもカニも日本酒なくしてはその旨味の全てを語れませんから。
【タコ三種盛り】は、頭・足・柔らか煮の盛り合わせ。足のしっかりとした食感、頭の柔らかくて繊細な旨さ、そして柔らか煮は同じタコの足とは思えないふわりとした食感と旨さ。もうね、どうしようかと思うわけですよ、私なんぞは。
【ホタテ刺身】は1枚のホタテをお造りにして頂きました。肝の何ともいえない旨さ、貝柱は手で裂いているので旨味が一気に広がります。貝ヒモを刺身で食べると磯の香りが何とも素敵なのです、あぁ日本酒日本酒。
まだまだ造りが続きます。ここで【ニシンの造り】です。生姜を醬油で溶いていただくのですがこれが何とも爽やかな脂が旨いです。ええ、脂です。するりと喉に流れ込む旨さ。もうね、一度喰えばいいと思うよ。そうしないとこの感動は伝わらないと思うから。
箸休めに【蟹三昧】をいうこの世のものとは思えない旨味の塊、いただきます。イバラガニの外子と毛蟹の身と肝を乾煎りしてあるという、思いっきり蟹の旨味の塊。白飯にかけるも良し、そのまま日本酒をいただくも良し。まぁ原価においくらかけてらっしゃるのかしら?という贅沢ふりかけです。箸休めだけど味覚が休まる暇はないですね。
一息ついて次の造りを。【ウマヅラハギの刺身】って。確かにさっきの蟹三昧の後でも負ける気がしないです。なぜなら肝をたっぷり醬油に溶いて頂くから。そう白身なのに濃厚な刺身ですわん。当然ですが旨いに決まってます。刺身がなくなってもこの肝醬油をなめるだけで二合くらい酒呑めますからね。うふ、旨いわぁ。
これ良かったらどうぞ、と頂いたのは【ヅケチップス】というマグロの漬けで残った醬油だしの塊。これまた旨味の塊。これいかんでしょう?さっきの蟹三昧から肝醬油、ヅケチップスと旨さが怒濤の攻撃ですやんか。うん、やっぱり旨い、旨すぎ。手が止まらないよ。
ここでちょっと趣向が変わって【マグロ串焼き】がやって来ました。塩とヅケ焼。これがまた一気に口が変わりますね。塩焼きはマグロの赤身がそのまんまの旨さ。焼くことで旨味がぎゅっと凝縮してます。ヅケの方はホロリと口の中で身がほどけていく、そんな幸せ。いい!
さらにもう一品。【海老の頭からあげ】を。エビ味噌でいただく唐揚げはどう考えてもビールが呑みたい。こんな事もあろうかとチェイサー代わりに最初のビールをおいていたのさ。ぬるくなっていたって気にしない。そう、そこに酒がある限り、それは幸福の泉というものなんだから。あ、日本酒でも美味しいですわ。エビ味噌最高。
賢明なる貴兄におかれましてはそろそろおわかりかと思いますが、いい加減腹が一杯になってきました。まさか造りだけでこんなに喰うとは。いや、出されたら全部一瞬で食べきるものだから、大将もどんどんと出してくれるのですよね。ということで最後のお造り頂きましょう。最後ですからリクエスト。【鯨の全部盛り合わせ】をお願いいたします。
大将がどうしても説明したいとおっしゃるには、さえずりはニタリクジラ、本皮はイワシクジラ、百広と畝須はミンククジラ、赤身はアイスランドのナガスクジラだそうです。もうね、これが旨いのですわ。特に本皮と赤身をあわせて食べる“偽尾の身”は一度食べたらもう一度欲しくなる、本当の尾の身よりもむしろコッチの方が旨いと思っちゃうほどなのです。
で、ここからは握りを。「五貫くらいでいい?」といわれてじゃあ取り敢えずとおねがいして、まずは【マグロの剥がし】から。はがし、この魅惑的な握り。大トロのスジから削いだ美しくも純粋な旨さの一貫。ああ、舌がとろけそう。旨い、旨いよ剥がし。
続いては【ボタンエビ】。高級ネタなボタンエビ。これを当然一口で頬張る。エビの甘味と旨味が口腔の幸福へと昇華していきます。
そしてそのボタンエビの【ミソの軍艦】を。頭を剥いて軍艦に。こちらは磯の旨さがグッと増して実に実に旨いのです。全てを食べ尽くす勢いです。
日頃の運河でよく見かけるあの魚も握って頂きましょう。【サヨリ】です。いやー実はずっと狙っていたのです。旨そうだったから。塩して酢洗いしたサヨリの握り。旨い、初夏の味。幸せなのです。
そして濃厚シリーズは【イバラガニの内子の軍艦】です。カウンターの隣の方が食べているのをガン見していたら大将が握ってくれたのです。これまた味が強いです、いうまでもありませんが。ああ、何という幸せ。これで外子と内子の両方を制覇したことになりますね。もうね堪らんですわ。
やはり北海道といえばこれでしょう【トキシラズ】。まぁほとんど毎年釧路から送って頂いているわけですが、どうせなら北海道の旨い寿司店でお願いしたいじゃないですか。身の柔らかさとほんのり甘味が脂に溶けて最高のトキシラズです。
最後に食べたいものを一貫だけいただくということで、目の前のネタケースでずっと目が離せなかった【松皮のエンガワ】をいただきましょう。この食感がなんとも堪らないのです。あー旨かった。大満足です。
〆の【アオサの味噌汁】をいただいて本日の寿司を満喫させて頂きました。ちなみにこのアオサの味噌汁、メチャ旨です。五臓六腑に染み渡る勢いで旨いです。
いやー御馳走様でした。途中でこれ以上食べられないかな?とか思いましたが何のその。もう5〜6貫食べれそうでしたが無茶をしても仕方がないので本日はこの辺りで。この後はワインバーでまったりとして宿へと戻ったのでした。
札幌に来るといえばほぼ間違いなくこのお店に立ち寄るのですが、満足度は非常に高いです。今回は食べ過ぎたのでお値段もお高かったですが何一つ後悔することはありません。食べずに後悔したら一生心残りというものです。
ま、未だかつてそんな後悔していませんが。
摂生とかそういうのは未来の自分に託します。
今回のお店:
すし処 佐藤
北海道札幌市中央区大通西5丁目昭和ビルB1