初めての札幌旅行・初日前半「すし処 佐藤」

七月九日からスカイマークの神戸空港→新千歳空港という素敵な便が就航いたしました。そして時を同じくして御料人様が仕事関係で札幌方面へ行くとのこと。これ幸いにと私も便乗で渡札幌してきました。役得役得。

image土曜日の朝、ちょっとだけ早起きして神戸空港へ。いつものように搭乗手続きを終えて朝飯を買いに走ります。御料人様はサンドイッチ、私はやはりそれっぽい空弁を探します。お、これいいじゃないか。見つけたのは【六甲山縦走弁当】なる魅惑的なネーミングセンス。当然ですが大人の遠足は出発と同時に始まります。ビールビール。

imageしかもきっちりとサッポロビール。沖縄行きではオリオンビールだったですからね。この辺りが大莫迦物が調子に乗っているといわれる所以。さて、弁当の中身はといいますと、麦飯と雑穀米のおにぎり、卵焼きに塩鮭。甲南漬けにスキヤキ風の牛肉。但馬地鶏をイメージした鶏肉、小蛸の煮付けは明石でしょうか。そのしたからはイカナゴのくぎ煮。

いや、これはなかなか良い感じで神戸縦走ですわ。ぺろりといただいて御馳走様でした。まずは朝飯をクリアなのです。さて、一時間半ほどの空の旅を終えて新千歳空港へ。ふと見ると札幌へ行く為のJRの時間が迫っているじゃないですか!これはいけない。ダッシュでホームに向かいましょう。と、これが意外と遠いのです。それでもようやく間に合って出発進行。

image無事に札幌駅に到着しました。列車の中で実際にiPadを使用しているのを見てちょっと欲しくなったのは内緒のお話。さて、一旦ホテルまで小雨の中歩いて辿り着き荷物を放り込む。その間に御料人様はお昼御飯の予約を取って下さいました。前回もやはり仕事で来ていた御料人様が気に入ったという寿司店です。そう、その時は私は行けなくて悔し涙にくれた店。

image大通公園に面したビルの地階というなかなか初見で見つけるのは困難なお店。「すし処 佐藤」です。お昼には840円でランチがあるそうなのですが、我ら夫婦にとってそんなことは知った事じゃない。つまり昼から普通に喰って呑みましょうということ。まずは喉の渇きを潤す為にビールで乾杯。さてさて、何からいただきましょうかね?

image御料人様の希望でまずは造りから。それもウニからスタート。うん、大莫迦炸裂。今の時期はバフンウニですよね?とお訊きしたら「そうですね。塩水ウニもいいですけど無添加ウニも美味しいよ。どちらもミョウバンを使ってないし」といわれてしまいました。ええ、両方お願いいたします。まずは【塩水ウニ】。いただきます。

imageおおう、旨いねぇ。しっかりとしたウニの旨さ。塩水に浸かっているのであえて醤油は必要なし。こりゃあ旨いですわ。続いては【無添加ウニ】。これはなかなか置いているお店が無いみたいです。鮮度が命の無添加だそうで。塩水よりもこちらの方が味が濃いですよ、といわれましたがまさにその通り。濃厚。甘くて濃厚なバフンウニの旨さの骨頂。死ぬかもしれん。

imageオススメは何でしょう?とここまで来てから訊いてお願いしたのが【ブドウエビと松川の刺身】。身が分厚いブドウエビの尻尾をまずは頂く。甘いわぁ。なにこの甘味は。そして白身の刺身は松川。ホシガレイの一種だそうで、幻のカレイなのだとか。刺身の上からはらりと落とされた塩とスダチを搾っただけでいただく。わはははは、この上品な白身の旨さ!

imageあっさりとしているようで旨味が深い。これは塩の力なんでしょうか?すげぇ白身旨い。てなことで騒いでいると、先ほどのブドウエビの頭が剥かれます。「ここを取ると美味しいんですよ」とミソのようなところを取って貰って。ずるりと啜ればああ、磯の美味。これは堪らんですわい。基本的に旨味が強いので塩も醤油も必要なし。幸せ。

imageそして今回の目玉。【鯨三種の造り】をいただきます。百尋(ひゃくひろ)、さえずり、畝須の三種。ニタリクジラだそうです。まずは百尋。上質なソーセージを思わせる旨さ。デリカテッセンでこんなの合ったような気がする不思議。こりゃあ旨いわ。さえずりは言わずと知れた鯨の舌。これも旨いです、とても旨いです。

image畝須に至っては御料人様と取り合いになるのは必至。流石にお店の方が偶数枚用意して下さったので殴り合いには発展しませんでしたけどね。いやー堪らんですよ。先ほどオススメを訊いた時に気になっていた【スルメイカ】と【ニシン】を刺身でお願いしました。スルメイカは札幌では真イカと呼ばれているそうです。へぇえ。

imageイカはその地方で一番多く採れるものを「真イカ」と呼ぶそうで、そういえばエビも一山越えたら名前が変わると教えて頂いたこともありました。魚介類は実に難しいものですねぇ。このスルメイカ、美しい身の色と甘味旨味。舌に吸い付く食感までも旨いのです。水っぽい冷凍のイカとは大違い。そりゃそうだけど。でもつい比べてしまう貧乏舌。

imageで、今回ビックリのお作りはニシンです。普段、ニシンを刺身で食べる事なんて滅多にないのですが、初めて喰ったニシンの旨さよ。ご店主曰く、骨抜きをしないので骨切りがてら薄く刺身にしているそうです。なので旨味をより感じる為に2〜3枚一度に口に放り込む。この贅沢な旨さ!あ、ちなみにスルメイカは山ワサビ、ニシンは生姜醤油でいただいてます。

imageものに合わせてちょっとづつ薬味を変えているんですよね。山葵、山ワサビ、生姜と。その気遣いが実に心地よいお店なのです。ちなみにこの時点で日本酒に走っております。【作(ざく)】という名のこのお酒。思ったよりも辛口ではないので私の好みです。さて、日本酒となるとそれなりに思うところがあります。ほら珍味系が欲しいじゃないですか。

imageご店主にお訊きしたところやって来たのは【エビミソ】です。エビの頭から一匹ずつミソを取って集めて練ってあるのです。内子が多い時はそのままで、少ない時は卵黄を加えて練り上げるとか。しっかり作り方まで教わってきました。まず自分では作りませんが。これがまさに磯の旨味。いいねぇ、ゾクゾクするねぇ。さらに次いきます。

image【海老の子】を。こちらは甘海老の卵だけを集めた一品。ああ、このえぐい色は確かに甘海老の卵!これも一匹ずつ卵を集めるそうです。根気の要る作業ですねぇ。なにせこちらのご主人、こちらが何をお訊ねしても全て教えてくれちゃいます。写真を撮ろうとしたら見栄えのいい方を選んで下さったりと、サービス精神の塊のようなお人柄。

imageこちらもついつい調子に乗っちゃうんですよね。そして気になっていた一品について訊いてしまいました。あの袋みたいなのは何でしょう?「柳蛸の卵です」え、ええーー!蛸の卵ですか!それ、是非ください!【蛸の子】はポン酢でいただきます。これがまた何とも不思議な食感です。見た目は…ちょっと…虫の幼虫ぽいのですがポン酢と柚胡椒で和えれば実に旨いのです。旨すぎるのです。いやー満足しましたねぇ。

imageこの辺りでちょっと握って頂くことにしました。そして日本酒の方もお代わりを。【役人殺し】というその筋では有名な濁り酒。あえてどぶろくとは書きません。これが見た目と違ってあっさりと甘め。良い酒じゃないですか。おっと、忘れるところだった。握りをお願いしますね。先ほど鯨の造りをいただいた時に是非握りでと勧められた一品から。

image【海のバター】とメニューにありますが鯨の本革の握り。味は付いているのでそのままで。口に入れた瞬間にとろけそうになる濃厚な旨味。塩と七味で旨味を更に引き出してあります。ああぁ幸せだぁ。間髪入れずに【ホッキ貝の握り】。こちらも磯の香りで口腔内を覆い尽くしてくれます。ホッキ貝ってこんなに旨かったっけ?

image貝続きで【ホタテの握り】は包丁ではなく手で裂いているそうです。なので表面に筋が入っています。なるほどこうすると舌に当たった時の感触が妖艶です。旨味の拡がりが良いような気がします。細かいところに気をつかっているんですねぇ。

imageそして先ほど刺身でいただいたのですが【ニシンの握り】もいただきましょう。刺身で喰うのとはちょっと違った旨さになりますね。御料人様曰く、札幌の握りはシャリがゆるめなのだそうです。そういわれればほろりと崩れる感じが優しいですね。そしてポーションが小さめ。一口で食べて口の中でサッとほどけるにぎり寿司です。

image更にちょっと変わったところで【イバラガニの外子握り】は軍艦で。イバラガニは昔はイバラタラバガニと呼ばれていたそうで確かにタラバガニそっくりな容姿。ここまでウニを二種類、エビミソ、エビの卵、蛸の子、蟹の外子と痛風一直線。いいんです。一時の快楽の為に落ちていくのが人間というものですから。いや、それで良いのか自分。

image握りラストは【大助の皮握り】で〆ます。大助は言わずと知れた高級鮭。その皮を炙って握りに。これが旨くないわけがない。しかも、この握りの為に、皮にはあの薄い脂を残してあるんだとか。ああ、どうしよう。この店が神戸にあったら週に一度は通っちゃうところでしたわ。いやー、御馳走様でした。とここで【青海苔の味噌汁】をいただいてしまいました。

image海の香りの味噌汁で興奮している舌と胃袋をなだめつつ、ふとネタケースを見るとよく分からない植物が。何ですかこれ?と訊いてみたら「どうぞ」といただいてしまいました。何もつけていないのにちょっと塩気を感じる不思議な植物。「塩菜とか呼ばれてますよ」とのこと。後で調べたところアイスプラントというものらしいです。

いやーそれにしても大満足でした。あまりにも色々な事を教えて頂いて、楽しくて仕方がありません。12:00丁度に入店して食べ終わったのが13:30。その間ずっと呑み喰い喋りっぱなし。この上ない幸せなひとときをありがとうございました。

やはり札幌は期待通りの街のようです。
これでまだ一軒目という長い旅の始まりなのです。

今回のお店:
すし処 佐藤
北海道札幌市中央区大通西5丁目昭和ビルB1
TEL.(011)210-7233
2 comments to “初めての札幌旅行・初日前半「すし処 佐藤」”
  1. 百尋は、九州だけかと思っていたら、北海道にもあるんですね。
    最近九州に行かなくなったんで、10年くらい食べていないような・・・・・。
    アイスプラントは、ちかごろ神戸でも買えるようになりましたね。

  2. 百尋ありましたよ。美味しかったですw
    そういえば今度、神戸→鹿児島便がスカイマークから就航するらしいですよw

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