嗚呼、青春の旅〜宇都宮紀行〜「炭火焼肉 粋牛」

ちょいと足を伸ばして行ってきました宇都宮。ずっと以前から「機会があればきっと伺います」と言い続けていたのですが、それから幾年月。ようやくその「機会」というヤツがやって参りました。
どうやらこれに乗るようです金曜日の午後。神戸空港より機上の人。いやいや、何とも相変わらずアクセス便利な空港なので、取り敢えずビールでも呑みながら出発待ち。あ、そうそう。今回初めて「非常口席」ってヤツになりました。
「足下の広い席がありますが?」といわれて、ああ、それはありがたい。それでお願いしますって事に。確かに広い、足下広い。ま、リクライニングしないんですがね。そこはそれ、仕方がないけど。でも、それはそれで辛かった。
晴れているようですが、東京は雨でしたで、東京経由で宇都宮を目指すのです。羽田から東京モノレールで。あ、そうそう。今回は結局一人旅となりました。楽しい。一人で飛行機、一人で東北新幹線。なんだか初めてのお使い気分で。
当然ですが、初めての東北新幹線。どれに乗ればいいのか分からない。分からないけど取り敢えずこの辺だろうと待っていたら、アレなんですね。二つの新幹線がくっついているのね。どっち?どっちに乗るの?
とまぁ、機嫌もよくあたふたした後に、駅員さんに尋ねて無事乗り込み成功。今回は時間もないし自由席。余裕で座れたので問題なし。いやいや、こういうノープランも実に楽し。
いろいろあって宇都宮へと到着。さあて、それではホテルへ荷物を放り込んでお店を目指しましょう。そう、あの「炭火焼肉 粋牛」へと。
え〜と。迷いました。相変わらず、だいたいあの辺り、という目測はことごとく外れ、行き過ぎて、戻ってきて、近所の洋服店の店員さんに訊いて、その人もよく分かってなくて、でも焼肉の匂いを頼りに探したのに、近所の鰻の方に気をとられていて。それでもようやく発見。
やはり生で始まるのですこんばんわ〜。今日はよろしくお願いします〜。という会話でスタート。何といっても20時到着という、一番立て込んでいる時間帯ですから挨拶もままならない。で、勝手に呑んで喰いますので、よろしくお願いします。
生三種。「ともさんかく」「タン」「レバー」を頂きます。タン刺。このカットは初めて見ました。片側を残して包丁を入れる。これいいッスね。薄く切られがちなタンモトを、こうやって包丁は入っているけれども一切れ、という素敵カット。
タンの見事な刺身肉の旨味も素晴らしい。関西でもなかなかお目にかかれないクラスの素晴らしいタンモト。牛肉大量消費地から来ているというのに、ホルモン系の鮮度と扱いの巧さに驚いている場合じゃない。うん、それにしても旨いタン。
で、レバーもいい。ねっとりと旨味が口腔内にまとわりつく、この生の肝の旨さは堪らんですよ。あふあふ。で、ともさんかく。ポッサムチプでたまに頂いている肉刺ですが、これも全く見劣りしない、いや、それどころか見事なサシ加減。
塩のホルモン。旨いぶっちゃけ、関西の方が牛肉の扱いが巧い思っておりました。なので、いくら頑張っていると言っても、そこはそれ、絶対的な牛肉の流通量による質の差があると思っていたのです。が、とんでもない。
これって、言ってみれば、関西でそれなりの有名店でそれなりのお値段で提供されている肉とまるで変わらない、どころか物によってはこちらの方がいい肉です。それを感じたのは続いての塩のホルモン。
芸術的なカットのギアラマウントミノサンド、ギアラマウント、タンルート、脂付きハツ、丸腸。今、これだけのホルモンをこれだけの良物で揃えるのはなかなか出来ませんよ。丸腸、脂付きハツの旨さは、もう言うまでもなく、ミノサンドの脂加減も素晴らしい。
ミノサンドは、脂にいわゆるアンモニア臭がつきやすいので、扱いの程度を測るのに分かりやすい。つまりこの粋牛では、ホルモンの扱いは超一流ということでしょうね。神戸から宇都宮まで来た甲斐がありました。素晴らしいお店です。
考え抜かれたカットのタンルートそして何と言ってもギアラマウントの素晴らしさ。アカセンの分厚いところ。これをただカットするにとどまらず、肉厚故の固さを、見事に包丁でカバーしてあるのですよ、ええ?何この芸の細かさ。
ギアラ(アカセン)の分厚い部分は旨さと固さが売りのような物。なのでお店ごとにカットが異なるのです。例えば薄く切ってみたり、一切れを小さくしてみたり。が、ここ粋牛では料理長の「肉はがっつり」という信念の元(いや、そんな信念があるのか知りませんが)に大振り。
お酢のタレ。絶品しかし、これを鱧の骨切りの如く包丁を入れることで見事に食べやすいホルモンへと昇華しているのです。ああ、これを一人で喰っているという罪深さに頬を涙が伝います。私の回りの焼肉好きな莫迦共に喰わしたい。本当に喰わしたい。
きっと今の私の気持ちが分かってもらえると思う。もう、何と言って褒め称えようか、どんな賛辞を送ろうか、そんな気持ち。ただただ旨さを共有したいのです。ま、今回は独り占めなんだけどね。仕方ないね、へへへ。
チョレギサラダもいいタイミングでおっと、忘れるところでした。粋牛名物の「酢ダレ」です。京都の米酢をベースに作られたこの酢ダレがホルモンに実に合います。さっぱりとして、レモンのような柑橘の強さもなく、塩との相性は抜群。
これで丸腸を喰った日にゃあホッペタの一つや二つは落ちるってぇものです。ええ、落ちました。落としましたとも。とまぁ、ここで口直しにチョレギサラダ。なるほど、こういう野菜の食い方もありですね。
目映いばかりの塩赤肉たち肉が続くのもいいですが、途中に野菜を摘むことで更に肉に対する欲求が高まります。で、肉。赤い塩肉。ここでもと「もさんかく」そして「あたま」ん?あたま?しまった、どんな部位か聞くのを忘れました。
どこだろう?まぁいいや、またコメント欄に詳細を書いて頂けることでしょう。それに期待して、この先の肉の部位は適当です。間違った知識は間違った人間を育成しますから。と、間違った焼肉の食べ方(喰いすぎ)の私が書いています。
この盛り合わせが素晴らしいで、塩焼き。旨い。普段からポッサムチプで色々な部位を喰ってますが、ここ粋牛でも見事な捌き方で見事な旨さ。サシが強い肉の食べさせ方の巧みさが、さすが山千海千の料理長。まったく隙のないメニュー構成。
ナムルとキムチの盛り合わせもここでやって来ます。なるほど、サシで辛くなる頃に野菜で気を散らす作戦ですね。まんまと引っかかりますが。この盛り合わせ。中でも葱とニンニクの和え物が塩赤肉に合いましたねぇ。
タレ盛り。すみません、半分喰った後の写真ですそしてタレへと突き進む訳です。が、ここで私自身に変調が。いつもならこのくらい(既に300g超ですが)は普通に食べているのですが、かなりきつく感じるようになってきました。なんだこれは?何があった?そう、この時に気付くべきだったのですが…ま、それはまた別のお話。
ということでタレ肉は半分残してしまいました。おかしい。こんなに旨いのに。なぜ?なぜ喰えない?あああぁ、勿体ない。それでもホルモン。ホルモンは別腹ですよ。ええ、頂きます。あの〜量は半分でお願いします。
ホルモン〜♪旨いんですぅこちらは何とか完食。丸腸の旨さは、例え苦しむ胃袋でも拒否することなく収まるのです。この揉みダレが旨いんですよね。片っ端から焼いて喰う焼いて喰う、酒呑む、の繰り返し。ビールからマッコリ、焼酎湯割、日本酒へと。
そして最後の最後にテグタンスープ。これ最高。旨い。堪らなく旨い。この店が近所にあったら、これと白飯だけで腹がはち切れるまで喰いたいと思わせる見事な旨さ。辛くて具沢山。これに白飯浸しながら喰ったら最高ですよ。
テグタンスープは辛くて旨くて具沢山すっかりと御馳走様でした。この後、お店の方と座敷でゆっくりとお話ししつつ日本酒を楽しませて頂きました。旨かった、楽しかった、本当に来てよかった素晴らしい日となりました。あ、賄いもちょいちょいと摘ませて頂きましたが、旨かった。普段から旨いモン喰ってるな、おい。という感想。
さて、それではすっかりといい時間になりましたので、おいとまさせていただきます。お勘定を。え?マジですか?いや、ありがとうございます。え〜と。では「青春18焼肉」ということで。
大人の不文律。内緒で...ええ、実は今回の旅。全編を「青春18切符」で旅する予定だったのです。さすがに社会人として三日間全部は無理と判断。で二日目のみの青春。それを記念して、粋牛さんで「青春18焼肉」を企画して頂きました。
ま、内容は推して知るべし。今回限りの超太っ腹企画です。本当に御馳走様でした。旨くて旨くて、次回はいつ向かおうかと画策中です。今度は一人ではなく、何人かで喰らいまくって、完全肉制覇を目指します!

ええ、この時は本当にそう思っていました。
翌日、まさかあんな事になろうとは…。

今回のお店:炭火焼肉「粋牛」
栃木県宇都宮市曲師町5-4 中村園ビル2階
TEL.(028)614-3838

炭火焼肉 粋牛 (焼肉 / 東武宇都宮)

6 comments to “嗚呼、青春の旅〜宇都宮紀行〜「炭火焼肉 粋牛」”
  1. いやいや、遠くまではるばるお疲れ様でした。
    では、早速『お肉の補足』を・・・
    〜塩物〜
    『アタマ』ですけど、『ともばら』のいちばん『頭寄り』の部分です。一般的には『サンカクバラ』ですね。
    もう一つは、『ササミ』。フランクです。
    〜タレ物〜
    『リブかぶり』そのまんま、リブロースのかぶりです。
    『リブ芯』リブロースの芯です。
    『巻きかぶり』リブ芯を巻くように付いているアレです。
    『シン芯』シンタマの芯です。そちらではマル芯って言うんでしたっけ・・・
    『タテバラ』ササミの頭の方です。最もカルビらしいカルビです。
    蛇足ですが次の日に良品の『小腸』と『直腸』と『ハツ』が入りまして・・・
    こちらも是非食べて頂きたかった!!
    あ、そんなに喰えないですね。そーですね(笑)
    でも次こそはもっと・・・・
    ではまた。

  2. 遠いところ来店ありがとうございました。
    てつやさんと粋牛で会える日が来るとは!
    あれもこれも食べてって、飲んでって感じで
    胃袋に無理させてスミマセンでした…
    また次回、神戸or宇都宮でお会いできることを
    楽しみにしてます。

  3. >おがちゃん
    そうなんです。
    超波乱だったのです(笑)
    >ゆうちゃん之助さん
    いや、マジで隣にいて欲しかった。
    肉はほんと〜に旨かったです。
    出張の機会などあれば是非!
    >粋牛料理長さん
    大変お世話になりました。
    今度は人数揃えて全部食べたいと思います。
    特にホルモン系を!!
    赤肉、本当に旨かったです。
    全部説明頂いたのですが、もう、私の脳細胞には収まり切れませんでした(笑)
    次に伺えることを楽しみにしています。
    >粋牛店長さん
    お久しぶりでした。
    行くと言えば必ず行くことで有名なのです。
    問題は恐ろしく時間がかかるくらいで(笑)
    結局約束から三年かかりましたか…。
    胃袋は、本来このくらいでは大丈夫なはずなのです。
    やはり長旅の疲れが出たのかも知れないです。
    是非またお会いしたいと思います。
    神戸なのか宇都宮なのか東京なのか…。

  4. 立ち飲み焼肉に惹かれて「七輪炭火焼ホルモン 立ち呑み処 田」

    金曜日はいつものように原酒店にて夕刻よりちびちびと呑んでおりました。週末の楽しみといえばやはり美味しい酒を呑むことと決まっております。と、そこへ一本の電話…

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