神戸の割烹で考える。

2〜3年前まで時々伺っていたお店のご主人が引退されたと聞いていたのですが、お店は続いているとのこと。娘さんが後を継いだそうです。でもまぁ、おとなしく家に籠もるような方ではないので、そろそろお店に出てるのでは、という予想の元、行ってみました。
平日ということもあってお店はがらがら。何となく入り辛いといいながら、ずんずんと奥に行くと、やはりいらっしゃいました、おとうさん。ジッとしてられないようですねぇ。
カウンターのど真ん中を二人で陣取り、早速ビールを頂きます。以前に来たときには置いていなかった芋焼酎も並んでいます。突き出しには水菜を炊いたものを。ああ、以前より味が濃いめですね。きっと娘さんの味付けなのでしょう。
さて、どうしましょうか。何かありますか?「え〜と、鱧、シマアジ、あとは岩牡蠣かな」とのこと。じゃあ岩牡蠣で。そして松茸が山盛りなのですがそれを頂きましょう、土瓶蒸しでお願いします。
と、さっきまでテーブルでテレビを見ていたおとうさんがやおら立ち上がります。うん、やはり調理はおとうさんですね。岩牡蠣を開いて捌いて頂きます。お〜これは立派ですねぇ。味の方もしっかりとしています。流石に富山で食べた物と比べるとあれですが、新鮮で美味しい牡蠣です。
そして土瓶蒸し。この季節ですから中国産だそうですが、香りはしっかりとありますしまるで問題ありません。ああぁ美味しい。おとうさんが腕を奮ってくださるならば鱧も湯引きでお願いします。
実はこのおとうさん関西料理界の重鎮だそうで、よく大きなパーティの裏方をされているそうです。うむ。さすが、美味しいです、鱧。身はふっくらと甘いのです。つまの茗荷もよく合います。夏の魚という感じですね。
さてこの辺りで既に日本酒「瀧鯉」になっているのですが、焼酎も気になります。次は焼酎を頂きましょう。なので小蛸の煮付けもお願いします。で、その原酒と書いてある焼酎をお願いします。同行者様は「藤の露」を注文しました。この原酒は実にキツイ。40度近くあるそうで、こんなの呑みすぎると酔っぱらっちゃいますよ。
さらに藤の露。これは麦焼酎なのですが、五年貯蔵のためなのか芋焼酎のような風味を持っています。どちらもクセはありますが非常に美味しいですね。なので鱧の南蛮漬けください。
さていよいよ〆としまして「鯛の酒蒸し」を。鯛のアラを酒蒸しにしたモノをポン酢で食べるのですが、松茸と出汁だけで十分にいい味になってます。実に旨い。酒がすすむ。魚が旨い。酒がすすむ。の繰り返し。頭の骨をバラバラにしてしゃぶり尽くしてごちそうさま。
どうしておとうさんが店に出なくなったのか聞いたところ、利き腕を骨折されて包丁が持てなかったそうです。最近ではだいぶ良くなったのでまたお店に出られているらしいのです。本当に身体だけは十分に注意してこれからもお店を続けてください。

そうでないと、私が旨いモノ喰えませんから
食い物に関しては利己主義者です、私

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