利き酒会 その1

予定通りに土曜日は利き酒会に行ってまいりました。すっかりと朝から呑み気分です。いそいそと昼前に仕事場を出まして、約束の地へと向かいます。浮かれて電車に乗ってしますと斜め後ろの席から「酒臭い」とのうら若い婦女子の言葉が聞こえます。いや、あの、まだ呑んでないのですが。ええ、昨日はしっかりと焼酎を飲んでましたので、多少は残っているかも知れませんが、そんな離れた席までは届かないと思うのですが。という軽い被害妄想というか加害妄想に取り憑かれつつ、小さくなっていました。後ろの婦女子に気づかれないように。で、電車は走るよどこまでも。どこまでも行かれても困ります、目的地で降りますよ。ええ。
さて、待ち合わせの後、いよいよ蔵に向かいます。普段は日曜が多い利き酒ですが、今年は土曜日。ということで蔵の近所の明石焼のお店が開店しているはずです。今年の楽しみの一つは明石焼も含まれているのです。キッチリと店の目星をつけておいて、取り敢えずは蔵まで。いきなり行方不明になってしまっては、世間様にご迷惑ですから。
毎年、仕込みや醸造過程などの説明があるのですが、さすがに今回はパスしまして明石焼に走ります。猛ダッシュ。昨日の夜も焼酎だけで何も食べていないので、このまま酒など呑んではどうなる事やら。ああなるのですけどね。ええ、人間失格。なので明石焼を食べてから、酒を呑みましょうという謙虚な気持ちを大切にしているのです。
そして訪れたお店は、見るからにいい感じ。建物自体も昭和・戦後を体現した実に素晴らしい佇まい。カラカラと引き戸を開けるとそこには…。誰もいないのですが。チャイムだけがきんころ鳴っていますが。しばらく待っていると、明治を彷彿とさせるお母さんが出てらっしゃいました。すみません、明石焼、持ち帰りできますか、あ、できますか。じゃあ四人前。ソース二人前とダシを二人前で。お願いします。という会話があって、テーブル席で待ってみます。うーーん。いい感じの店です。この路地裏感といい、実に渋い。そして置いてある漫画も「アストロ球団」「ダミーオスカー」とどう考えても平成にはほど遠いラインナップです。いやー落ち着くなー。そうだ、一人前はココで食べますね、ついでに瓶ビールもください。はい、どうも。じゃあ乾杯。うーーん旨い、いいなー。って結局食べる前にビール呑んじゃったよ。あーーあ。まーいいかー、旨いし。
さて、そうこうしている間に一人前分の明石焼が出てまいりました。550円12個入り。小振りの玉はなかなかの美味しさです。これを熱いダシでいただきます。本来の明石焼(玉子焼)は冷たいダシで冷ましながら食べるんだよね、などと言いながらも、目の前の明石焼にかないません。机上の玉子焼より眼前の熱い明石焼です。それを二人でほふほふと平らげ、三人前の明石焼を蔵に持ち込みます。ああ、みんなの笑顔が待ち遠しい。

やはり、一日では酒まで辿りつけませんでした。
明日も続きます、おそらく。

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